スポーツメンタルコーチに学ぶ!子どものやる気を引き出す しつもん.Part 1

スポーツメンタルコーチに学ぶ!子どものやる気を引き出す しつもん question

サッカーや野球といったスポーツに限らず、習い事や勉強など、子どもたちのやる気を引き出すのは難しい…。
「どうしたら、子どもたちがやる気を出してくれるんだろう?」
実はこれは、数年前までスポーツ指導の現場にいた私自身の悩みでした。
課題を解決すべく、毎日子どもたちと向き合うも思い通りにはいきません。
そんな中、ある出会いと気づきが転機となりました。
「教えることをやめる。」

教えよう、教えようとしていた自分を変え、

子どもたちに効果的な〝しつもん〞をする。

たったそれだけで、子どもたちの目が輝き出し、みるみる能力を発揮するようになっていったのです

スポーツスクールのコーチとして活動後、考える力をはぐくむ〝しつもんメンタルトレーニング〟を考案された、(一社)スポーツリレーションシップ協会代表理事 ・藤代 圭一さん

スポーツメンタルコーチに学ぶ!子どものやる気を引き出す しつもん

「どんな問いかけをするか?」で、世界が変わる

スポーツメンタルコーチに学ぶ!子どものやる気を引き出す しつもん

暗闇の中を歩くのは心細いもの。小さな枝に頭をぶつけることもあれば、足元の石につまづくこともあります。まさに、手探りで進まないといけません。

けれど、懐中電灯が一つあるだけで、状況は一変。

暗闇の中に光を照らすことで、心も足取りも軽くなります。質問には、この「懐中電灯」の役割があります。

例えば、試合に負けてしまった後も、「どこに光を当てたいか」によって、質問を変えることが重要です。

「敗因は何だと思う?」と問いかければ、

ネガティブなところに光を当て、失敗から学ぶことができます。

「どんな成長があった?」と問いかければ、

ポジティブな面に光を当て、成長を実感することができます。

「どうすれば勝てたと思う?」と問いかければ、

試合を振り返り、次回への行動を生み出すことができます。

科学者とは、正しい答えを与える人ではない。正しい質問をする人である。

クロード・レヴィ=ストロース

スティーブジョブズは日々自分に、
「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」と問いかけたといいます。

スティーブン・R・コーヴィーは著書「7つの習慣」の中で、
「あなたの葬式で集まってくれた人に、何と言って欲しい?あなたの人生について、どう述べて欲しい?」と読者に問いかけました。

「なんでシュート外したんだ?!」と問いかければ、選手から言い訳が返ってきます。「どうすれば決めれたと思う?」と問いかければ、選手からアイデアや改善策が返ってきます。

どんな問いかけをするか、を意識しましょう。

安心感は「選択肢を奪わない」ことから。

スポーツメンタルコーチに学ぶ!子どものやる気を引き出す しつもん

「今日のご飯、何がいい?」
ラーメンにしようかな、それともあんかけチャーハンかな。 お寿司もいいよなぁ。
僕たち大人も子どもたち選手も、目の前に選択肢があると安心感を抱くものです。

反対に、たとえば洋服を買いに行ったお店で

「あなたにはこれが絶対、お似合いです!買ったほうが良いですよ!」

と店員さんから言われると、押し付けられている不安な気持ちを抱きます。

子どもたち選手に安心感を抱いてもらい、自分の考えや行動を表現してもらうために大切にしたいことは
「選択肢を奪わないこと」
「やってもいいし、やらなくてもいいよ。どちらでもいいよ」
目の前に選択肢があると安心感を抱き、「やりたい」と感じた選手は行動に移します。

親  「今日のご飯は何がいい?」
子ども「お寿司!」
親  「お寿司はダメよ」
子ども「じゃあ、ハンバーグ食べに行こう!」
親  「この前、外食したばかりでしょ」
子ども「んーじゃあラーメンは?」
親  「ラーメンはあんまり体に良くないからダメ」
子ども「……」

これであれば、最初から聞かれないほうが良かった、と子どもも感じてしまうかもしれません。選択肢を与えているように見せかけて、選択肢がない状況はより深刻です。

例えば、職場の上司の方から「この資料、明日までに完成できる?」と、問いかけられたとします。

選択肢があるとは答えがYESでもNOでも良いということです。けれど、この場合、選択肢があるようですが、選択肢はありません。

「いえ、できません」と答えたらきっと怒られてしまいます。主体的な行動は、安心感からはじまります。

「やってもいいし、やらなくてもいいよ。あなたはどうしたい?」

選択肢を与えて、子どもたち選手の行動を引き出しましょう。

◎「しつもん」で夢中をつくる! 子どもの人生を変える好奇心の育て方

藤代 圭一 著
出版社名:旬報社
発行年月:2020年4月28日

プロフィール

藤代圭一(ふじしろ・けいいち)
1984年生まれ。メンタルコーチ。(一社)スポーツリレーションシップ協会代表理事。
教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力をはぐくむ「しつもんメンタルトレーニング」を考案。
日本女子フットサルリーグ優勝チーム、アイスホッケーU20日本代表チーム、
さらには地域で1勝を目指すキッズチームまで、数多くの実績を挙げている。
現在はスポーツだけでなく、子どもの学力向上をめざす保護者や教育関係者に
向けたコーチングをおこない、独自のメソッドは高い評価を得ている。
著書に『スポーツメンタルコーチに学ぶ! 子どものやる気を引き出す7つのしつもん』(旬報社)ほか。Webサイト

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