子育ての方針の一つとして、「褒めて育てる」というものがありますね。
例えば、子どものテスト結果が良かったときや、試合で活躍したときに、先生や親御様が、「良かったね」「やればできるね」などと、結果に対して子どもを褒める、ということがあると思います。
子どもは褒められることで、「嬉しい」というポジティブな気持ちになることが多いでしょう。
それによって、子どもは自信を持つことができ、「次ももっと頑張ろう」というように、次の行動につながります。これは褒めることのメリットですね。
でも、「褒められたい」という気持ちが頑張るためのエネルギーであった場合、人から「褒められる」ことが無くなってしまったらどうなるでしょうか?頑張る理由が見つからなくて、行動を起こさなくなってしまう可能性も出てきてしまう、ということが心配されますね。これは褒めることのデメリットと言えます。
大切なのは褒めた後の時間
親御様にとっては、「褒めることのデメリットはなんとかしたい!」と思われるのではないでしょうか。
心理学から考える、その一つの答えが、褒めて終わらずに褒めた後の「振り返りの時間」を作ることです。
心理学で自信に関連する大切な考え方に、「自己効力感」というものがあります。
「自己効力感」とは、「目標とする結果を得るために、自分は必要な行動ができる」と、自分のことを信じられることを意味しています。「結果」を褒められたままで終わっていたら、自己効力感にはつながりにくいのです。
親御様がお子様と一緒に、なぜ今回は良い結果が出たのかを振り返ることで、どのような準備をして、どのようなことを考えて、どのように取り組んだ行動が良かったのかを、お子様ご自身が確認することができます。それが自己効力感につながるのです。
「甘やかさない為に簡単には褒めない」、という考えもあると思いますが、褒めた後の振り返りの時間を作ることで、この心配は無くなるのではないでしょうか。
また、人には、他者から認められたいという「承認欲求」があるので、お子様が良い評価をもらって嬉しくなることも自然なことです。「褒めると子どもが調子にのるのでは?」と思われるかもしれませんが、この承認欲求は、他者から褒められた後の振り返りの時間で、お子様自身が「なぜ勝てたのか」を考え、自分で自分を承認することで満たすこともできます。
この習慣がつけば、他者から褒められて調子にのることもなければ、褒められないとやる気が出ないということもなくなっていくでしょう。
いつでも振り返る習慣をつくる
大切なのは、どのような結果であっても、また他者から褒められるかどうかに関わらず、結果が出たプロセスをいつでもしっかりと振り返る習慣をつくることです。
■褒める時には、誰かと比べるのではなく、「前できなかったことができるようになったね」というように、以前よりも良くなったところを具体的に褒める。
■テストや試合の後は、「今日はどんなことを頑張ったの?」「今日までのどんな取り組みが良かったと思う?」「もっと頑張れたことはどんなことだったと思う?」「今日、自分で自分を褒められるところはどこ?」「次により良くするためにどんなことができる?」などと声をかける。
こうした親御様のお子様への関わりによって、振り返りの仕方が身につき、振り返りの習慣がつくられるのです。