大人による先走った言語化のデメリット
「子どものやる気を引き出したいのですが、どうしたらいいですか」というご質問をいただくことがあります。また、試合に立ち会った際に、以下のような親子の会話を耳にすることが多々あります。
■試合前
親御さんが「頑張ってね」「楽しんでね」「緊張しなくていいのよ」と色々と声をかけるのに対して、お子さんは「うん」と一言で返す。
■試合後
親御さんが「緊張しないでもっと思い切ってやればいいのに」「楽しかった?」「残念だったね。悔しいよね」と色々と声をかけるのに対して、お子さんは「うん」と一言で返す。
これらの親御さんのお気持ちは、「お子様に寄り添いたい」「お子様を励ましたい」というものであろうかと思います。しかし、こうした想いが、先走った言語化となってしまい、せっかくのお子様の気持ちや考えを“言葉にする機会”を奪ってしまうことにもなりかねないのです。
“言葉にする機会”を生み出す声かけのコツ
例えば、試合の前後に、お子様に「今はどんな気持ち?」「今日は試合中にどんな気持ちになった?」といった声かけをすることで、お子様は自分の気持ちを言語化することができます。これは自分の心をコントロールするのに大切なことです。
「緊張している」と、お子様本人が気づいて言葉にできるだけで、自分を客観視することに繋がり、「緊張にのまれる」という状態を防ぎやすくなります。
さらに、「なぜ緊張しているのかな?」という「その気持ちになった理由」を考える声かけによって、緊張などの自分の気持ちを認めることができるようになります。
「緊張しなくていいよ」というのは、声をかける側は励ましのつもりであっても、声をかけられた側は自身の気持ちが否定されているように感じることにも繋がりかねません。
なので、「緊張した理由」をお子様から引き出し、「その理由があるならそりゃ緊張するよね」というように、お子様が素直に感じている言葉を否定することなく、その感情に寄り添うことはとても大切になります。